Dow Industrials (.DJI) 8,131.33 △5.90 (+0.07%) Volume 537M
NASDAQ Composite (.IXIC) 1,673.07 △2.63 (+0.16%) Volume 2,147M
株価が将来どういう方向に向かうかを予測するのにベストな方法は、過去にどんな動きをしていたかを理解することだ。過去30年間私は株ジャンキーだったし、CNBCに関わってから20年になる。
そう。今日はCNBC放送開始から、ちょうど20周年。ということで、相場に関しても、歴史を振り返ることの重要性をお伝えしよう。
学者さんの中には、彼らはきっと自分のお金をマーケットに突っ込んだこともないような人々だろうけれど、株の動きの予測をするのは無駄な努力だし、訓練したからといってうまくなれるものでもない、だから個別株を買って自分で運用するなんて馬鹿げているなんていう人がいる。マーケットの予測は不可能だから、過去の失敗から学ぶことも不可能で、結果その経験自体は全く無駄なものだ、とね。
私に言わせれば、投資に関しては、経験こそがもっとも重要なものなんだ。すべての経験に意味があるんだ。
投資のベテランとして、私はほんとにたくさんのことをあなた方とシェアしたいと思う。私の過去の成功と、もちろんそれ以上に失敗からも学んでほしいんだ。
過去の歴史をひも解いてそこから学ぶことほど重要なことはない。
98年10月8日。98年のベアマーケットが終わった日だ。前年に金融危機がアジアを襲った。アジアンコンテージョン(アジアからの伝染病)と我々は名付けたが、巨大なヘッジファンド、LTCMが破綻したことをきっかけにしていて、すべてのメジャーなインデックスが、高値から40%の下落となった。
これはどうやって相場の大底が形成されるかの重要な例だ。
相場の底が確定していく時、その目前の恐怖の中で、どうやって規律を保ち続けるのか。
もう一度言うけど、相場の底が確定していくその目前で、規律を保ち続ける! これは忘れてはならないことだ。
つまり、どうやって、相場に相対している自分自身の感情の変化をインジケーターとして使うか。市場のセンチメントを計るものさしとしてね。そして、その恐怖の感情に目を眩まされないようにし続ける規律を持ち続ける、というのが、とても重要だったんだ。
相場が大底をつけたあの日のことは、良く覚えてる。street.comのチェアマンとして、記事を書いたからね。12:18に記事を書き終え、12:29に発信したんだ。
そしてその記事の中で私はこう書いた。
「今すぐ逃げろ!」
私はその日も、あのときまで、ずっとブルの姿勢を崩さなかった。あの年はずっと、あの日まで相場にしがみつこうとしていた。だが、あの日の相場の下落や相次ぐ悪いニュースに、ついにマーケットは私を屈服させたんだ。
その日、ブルであることをあきらめたのは他にもいた。ジョセフコリン(?)や、GSの?女史。TVでポジティブな見解を見せていたが、あの日に彼女はS&Pのアーニング予想の変更を出したんだ。調整と言ってもいいレベルの予想変更ではあった。来年は利益が下がるだろう。今までのようにはいかない、とね。彼女も降伏したんだ。アナウンスの内容としては小さな変更ではあったんだ。でも、地滑り的な売りを呼び込んでしまった。様々なネガティブなニュースと、長期に渡る終わりの見えない相場の下落のプレッシャーにつられてね。
2700銘柄が値を下げた。300銘柄だけがかろうじて値を上げていた状態だった。その状況を見た私は、両手を投げ出し、降伏してしまったんだ。そして人々に「もうだめだ、逃げよう」と記事を書き伝えた。たくさんの売り注文を出した。
そして何が起こったのか。
12:34。
CNBCで、滅多にない、FEDの緊急ミーティングが開かれているとの放送が流れた。そこから相場は急反転したんだ。
私は相場の底を当てた! でも、良い意味でなく、最悪な意味でだけどね。降伏宣言をしたことによってね。
相場の底の酷いセンチメントの中では、経験を充分持った、タフなつもりの私でさえも、目を瞑ってしまうほどのことが起きる。ブル派のブルがタオルを投げてしまうほどにね。
98年の相場では、私が相場の底のインジケーターになっていたんだ。私の出した「逃げろ!」というアナウンス。降伏の感情。マーケットに流されてしまった。
最後のブルが血祭りに上げられるようなセンチメント。目に見えてネガティブな状態になり、ブルが誰もいなくなったとき。相場が上向くだろうという考えが、考えられなくて、異端なものとなったとき、相場の底が形成されるんだ。
グリーンスパンによる緊急ミーティングでFEDがレートをカットするということを決めたことが、相場が上昇するために、ちょうど必要なことだったんだ。そしてそれが、2000年まで続くとてつもないぶる相場の始まりだったんだ。
こんな時は(FEDの緊急介入による)相場の底を認識しないと行けないんだ。私はそのニュースを見た後、すべての売り注文をキャンセルし、買い側に回った。
なぜならFEDの動きには逆らえないからだ。ちょうど今バーナンキの動きに逆らっては行けないようにね。
FEDがレートをカットしマーケットの救助をし始めたら、相場に降伏してしまうことが、確実にお金を失うことにつながってしまう。
センチメントをインジケーターとして使うんだ。相場の底が近づいてることを示すね。でも、それに盲目に従ってはならない。私は完璧に盲目だった。1998年の相場の底で。
視聴者からの質問:
Q: 相場の底であるという認識を強固にするようなものは何がありますか?
A: 毎週水曜に発表されるインベスターズサーベイでブルが25%のレベルまで落ち込んだときは、相場の底にごく近くにいるサインとして受け取っている。それとS&Pのオシオレーターなどだ。私がそういう指標をみるときは、ネガティブサイドにあまりに多くの人が振れてしまっているかどうか、ということをチェックする。それを確認したとき、私はその逆に向かう。徐々にね。というのは、ファンダメンタルはまだまだ悪い状態だからだ。でも、センチメントが片方にあまりに軸足を移しすぎていたら、ポジションを変えるようにしなければならない。
Q: この2008年の経済危機で多くの人が損失を被むりましたが、今後にゲームに残り続けるために、バイアンドホームワーク以外のことで、我々個人投資家が考えるべきポイントはありますか? 特にあなたがリタイアした後は、自分で考えていかないと行けないんで是非教えてください!
A: 私はまだまだ続けていくから心配しなくていいよ! 今重要なことはキャッシュポジションについてのことだ。このような状況下では、フルポジションだとか、10%しかキャッシュがない、なんてことではまずい。20-25%ぐらいはキャッシュを持っててもいい。もっと状況が悪くなったとしたら、さらに現金比率を上げるようにするんだ。キャッシュポジションを大きめに確保すること。このことを(バイアンドホームワーク以外で)今の状況下ではお勧めしたい。
結論:ベテランでさえも失敗をする。感情の誘惑を乗り越え、常に合理的な規律に従うことを心に刻み込もう。ボトムを見つけることに関しては、私の失敗を参考にするんだ。夜明け前が最も暗いってことをね。
ーCM開けー
何が相場をコントロールしているかだが。コントロールという言葉を私は特定な意味合いで使っている。
どういう要素が株価に力を与えているか、という意味合いなんだが。
それぞれの相場は違っているが、一つだけ確かなことがある。それは、株は債券をの後を追う、ということだ。
クレジットマーケット(債券市場)は、株式市場に比べて、企業国家アメリカの健康状態を決める、より重要な役割をになっているんだ。
株式市場のほうが債券市場よりも大きな利益を出すことが出来るが。株式市場のみが、企業の実態を計るアクションが行われている場ではないんだ。
このことは本当のことで、過去2年間の経験を通して、多くの人のがしっかり理解するようになっていて欲しい、と願っていることだ。
不動産のモーゲージ市場や、キャピタルクレジット市場が、本当のところすべてを支配しているんだ。だから、会社の業績を見るだけじゃなく、モーゲージ市場の様子をきちんと観察できていたなら、今回の金融危機も予想することができたはずなんだ。
私がGSで働き始めたとき。私はショックだった。株式市場はまるでマイナーリーグで、債券市場こそがメジャーリーグだったからね。
しかし、私はそのときGSの債券部門のデスクから学んだんだ。経済の健康状態を判断するには、株式市場の状況だけでなく、会社に対するローンの貸し出しの状況を見なければならない、とね。
債券市場を巨大なクレジットカードだと思って欲しい。
ほとんどの人が買い物をするときにクレジットカードを使うように、そしてほとんどの人が家を買うときにローンを組むように、ほとんどの会社は、設備投資等をする時に、クレジット市場の助けを必要とする。クレジットスコアが良い人、悪い人、そして人によっては返済不能になって信用がゼロの人。会社の健康状態を知るために、このクレジットの状況は非常に重要で、株式市場に大しても大きな影響を持っているんだ。
youtubeでも話題になったが、2007年8月3日、私はクレジット市場の崩壊からなる金融危機についての予測をお話しした。バーナンキに見えていなかったもの、他の株式市場のプレーヤーも予想出来なかったものを、どして私が予期することが出来たかだが。
ホームワークでは、カンファレンスコールを聴くよう促しているが、私がベアスターンズのカンファレンスコールを聴いたときだ。
シーンの裏側の意見で、ベアスターンズの持ってるポートフォリオも含め、巨額の金が集まっていった債券市場で債券の値段が額面から大きく値崩れしかかっている状況になっていることや、不動産モーゲージ市場のデフォルトが急増し始めるところだ、という話だった。それが当時実際に起こっていたことだったんだ。
しかし、住宅市場の問題が、債券市場に与える影響の重要性を、誰も理解していなかった。そして、債券市場が株式市場に対して大きな影響力を持っているということもね。
このことは絶対に忘れないで欲しい。
バーナンキがコールしなきゃいけないんだ。投資家がお金を出すだろうなんて考えは捨てろ! バーナンキは今すぐ金融緩和策をとらないといけない。それほどまでに債券市場は悪くなってる。バーナンキはまずここに注力しなきゃいけない。グリーンスパーンはレートを市場に耳を傾け17回上げてきた。バーナンキはアカデミックにそってやることにこだわりすぎてる。今はそんな悠長な状況じゃないんだ。ベアスターンズの話をちゃんと聴け! まずはレートをカットしやがれってんだ。あいつは全く持って分かってない。どれだけヤバい状況かわかってないんだ! この3日間でほとんどすべての業界関連会社の人間に話を聞いた。やつは全くわかっちゃいない! 何もわかってない!
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今日はCNBCの20年の歴史を祝う日だが、違う歴史も祝おうじゃないか。株式市場の歴史だ。
株の値動きを100%読み取ることは不可能だが、しかし、パターンは読み取ることが可能だ。
大口の機関投資家が相場の動きが短期の株価を決める要因になる。だから彼が相場で起こるイベントに対してどう動くかを学べば、それを予想して先回りすることが出来る。それが正しければ大きな利益を得られるだろう。そして間違っていたとしてもそこから学ぶことが出来るだろう。
私自身の心情はファンダメンタリストだ。バフェットやグラハムのように、成長性のある企業の株価が不当に低く評価されてるときに買うという考えは正しいと思っている。がしかし、ファンダメンタルだけでなく、大口投資家がファンダメンタルに対してどういう反応を示すかということにも注意が必要なんだ。
誰もこんなことを言わないだろう。機関投資家は、個人投資家に無知なままで居てほしがってる。証券会社はコミッションを取りたいだけなんだ。
私はただ褒めてもらいたいんだ。いい先生で居ることに対してね。そして、正しいことを伝えられてるようであればと願っている。
機関投資家も人の子だ。彼らもナーバスになるんだ。TVではそんなそぶりは一つも見せないが、誰もと変わらない。ただ単に素晴らしい俳優なんだ。時に不確実性に恐怖し、時に熱狂してしまうんだ。
機関投資会社の中で売買の判断を下している人々もただの人だ。
その端的な例をあげよう。第一次イラク戦争の前と、第二次イラク戦争の前。どちらの場合も投資家は最悪を予想した。機関投資家はこのイベントの危険性を過剰に判断し、マーケットを下げまくった。行き過ぎなほどね。実際に戦争が起こる前にだ。どちらの時も、私が「極上の時間」と表現している状況が起こった。
もし正しい時に買い向かえば。機関投資家の動きを予測して、キャッシュポジションを持ち、予測を正しく持ち、マーケットが下がった後に買えば、何年もの間ほとんどのプロを打ち負かすことが出来るだろう。
その種明かしは、こういう「極上の時間」を識別することなんだ。
ということで、マーケットを混乱に陥れた、1990年のイラクのクウェート侵攻の時の様子を見てみよう。
ー過去のニュース映像ー
(戦争への恐怖心から、オイル価格の上昇に伴うインフレ。失業率の拡大などにより株価が大きく下げていってるといったような、悲観に満ちたニュース映像が流れる)
アメリカ政府が軍事介入に入ることが明らかになった時点から、市場は下がり続けた。まさにベアマーケットだ。
私が追っかけていた指標であるヘッジファンドはすべて「マーケットはこれからどんどん悪くなる。買い時ではなく、まさに今売り時だ」と叫んでいた。しかし、空爆が始まったときには株価は大方元に戻っていたんだ。マーケットは不確実性に対処することが出来なかったんだ。実際のところ、我々は、ほとんど犠牲者を出すことなくこの戦争は終わるだろうことがかなり明白だったにも関わらずね。
その時に買いに入ったなら、あの歴史的な相場のラリーを堪能出来ただろう。そしてそこが、もっとも長期に渡ってアメリカが戦争に関わらずに経済成長を続けた時点の始まりと一致してたんだ。
2002-2003にかけて同様の「極上の時間」があった。マーケットのボトムが第2次イラク戦争への助走と始まりの時に起こった。
イラク侵攻が相場の底を示す、とい単純な話をしてる訳じゃない。
しかしこれらの戦争に共通点があり、どちらのボトムにも共通点がある。
機関投資家は、状況の行く末を、過剰に悪く予想してしまったんだ。そして実際に始まったときには、予想したほど悪くなかったじゃないかってことに安心し、ブル派に転じていく訳さ。
市場のセンチメントが圧倒的にネガティブなとき。まるで私すらベアになったあの1998年のように。イラク戦争のようなきっかけがあったとき。そんな時には、「極上の時間」を彩る材料が集まってる時なんだ。決して見逃さないように。
2009年の3月は、もしかしたら同様のことだったのかも知れない。本当のことは、いずれ時間が教えてくれるだろう。
しかし、未来を見渡したいなら、過去から学ぶことを忘れてはならないんだ。
視聴者からの質問:
Q: この20年間に個人投資家の比率が高まってきたかと思いますが、それによる戦略の変更というのはありましたか?
A: この20年に2つの大きな変革があった。一つはSECの規則でインサイダー情報がだめになったことだ。それと、ヘッジファンドの時と比べて、株を保持している期間が長くなってる。ロングタームで考えるようになっている。6-18月単位で予想する。そのことによって、今のようなマーケットでは市場をまかすことが出来るようになる。なぜなら、これから1年先の状況をきちんと考えることが出来れば、それに合わせた情報を探すことが出来るし、調整が来た時に、その下げを巧みに利用して立ち回ることが可能だからだ。
Q: 私はデイトレーダーをやってて、常に投資情報を収集しています。その中で、アナリストの意見に関してですが、ある人はブル、ある人はベア、と様々な意見がありすぎです。そしてそのどちらもが説得力のある意見となっています。どうしたらいいんでしょうか。
A: これはちょっと難しい話だね。私がヘッジファンドをやってたときは、あえて違う意見の人間二人を議論させて話を聞いていた。そして私が結論を下していた。意見のぶつかり合いが、良い判断を下すより良い材料になると思う。GSに居たとき、部下を教育していたとき、ディベートを行ったのちに、それを聴いた人間に判断をさせた結果を集めたところ、議論を聴いてより多くの考え方を知った場合の方が良い結果を生み出していた。情報がどうして大事かは、株価が下がっていったとき。例えばベアスターンズ破綻のケースを既に知っている。そうすると、大下げする前に逃げるという方法も考慮に入れることが出来るだろう。高値で買わず、安値で買うべきというCNBCの哲学は良いものだと思う。
Q: 株価を安値探しで買いに入る方法と、アクティブにトレードをする方法では、長期に渡ってはどちらが有利だと思いますか?
A: 安値買いの方がだめだと思う。というのは、安値を狙う人間は、大抵価格の安さだけに目を向けてしまう傾向があるからだ。そんな株は相場の上昇期にもモーメンタムがなく取り残される場合が多々ある。逆に、バランスシートも素晴らしいベストの会社はそのレベルまで落ちないことが多い。株価は高い水準だったかもしれないが、それでもそれらの企業が成長することで利益を上げることが出来るからだ。
Q: ベアからブルへの転換期を計るシグナルは?
A: 前にも言ったが、インベスターズサーベイ。それとオシオレーター。最も大事なのは、ベア派が市場を独占する状態になることだ。そこが買いに転換する節目だ。
ーCM開けー
今日は20周年ということで、この20年間の相場のマイルストーンを見ていこう。投資は、仕事や趣味とどうようで、より多くの経験が、あなたをより良くするものになるんだ。
さて、私のキャリアの中で、これ以上の成功はないんじゃないか、という会社のことをお話ししよう。
ある特定の銘柄は、市場の鍵となることがある。80年代はPfizer。90年代はYahoo!。そして2000年代に入ってからはGoogleだろう。そしてこれらが市場のキーである限り、市場とともに、さらに上昇していくだろう。これらの銘柄は例えて言うなら将軍だ。リーダーなんだ。これらが投資家に、相場の上昇感を与えてくれる。何がその銘柄をリーダーたらしめるかだが。それはGoogleを見れば分かる。2004年8月19日、Googleは上場を果たした。そして2007年の終わりにピークを付けている。私は上場当初からGoogleに乗っからせてもらっていた。Googleにはファンドマネージャーの誰もが欲しがるものを持っていた。ずば抜けた成長力だ。成長力は、成長株を好みとする投資信託の買いの決断を促し、相場の動きの大きさからヘッジファンドも寄り付いてきたんだ。成長力からは誰も離れられない。IPOの時、値段がいくらでも関係なく買うべきだ! と話した。85ドルだったが、200でも買いを勧めた。300ドルのときも。500ドルになった時でさえだ。ほとんどのアナリストは高値になり過ぎてると言ってた時でも。しかし、他の全ての株”将軍”のように、Googleの業績は、投資家の予想を遥かに超えた速度で成長していった。その高い成長率によって、株価がまさにぶっ飛んだ。そこで、信じられない、とばかりに、成長の凄さに感嘆してしまった、今まで逆ばりをしてたり、傍観していた人までが宗旨替えをしていった。その結果がますます値を飛ばすこととなっていった。
マーケットは成長が大好きなんだ。そして、Googleはまさに素晴らしい成長力を持っていた。
我々が ARG=Accelerate Revenue Growth (加速度的な収益の成長)と呼ぶものを持つ株、業績が年30%以上増え続ける時には、天井が見えなくなる。そのような数字の前にはマイクロソフトのような巨人も太刀打ち出来ないんだ。
過去の例から見てこんな成長がずっと続いていく訳はない。だから株価はもうあがりようがない、と多くのアナリストは言った。結局のところ、確かにGoogleの成長率の伸びにも限界が訪れ、株価は下がった。だが、それが起こったのはベアマーケットになった後であって、それまでの間、だれもが高すぎると常に言い続けている中を、株価は駆け上ったんだ。
通常この番組では安く買って高く売ることを推奨している。しかし、2004年から2007年のGoogleのような株を見つけたとしたら、あなたに出来たこと言えば、高値で買って、さらに上の高値で売るということだけだ。なぜなら、あのような高成長力を持った株は、後戻りをすることがないんだ。
成長の力を信じないと行けない。グーグルの伝説的な高い株単価の前に、成長を信じることを、妨げられないようにするべきだったんだ。
株価が200であろうと400であろうと、株単価自体に意味はないんだ。たとえ信じられないほどに値を上げて、高すぎるように見えていたとしても。
人々は、単価的に高く”見える”株を見逃す傾向がある。しかし、私が買い推奨をしたときに何度も言ってたように、Googleの株価が200ドル、300ドルじゃなくて、20ドル、30ドルだったなら、あなたはきっと買うのを躊躇わなかっただろう。
株単価はただの数字だ。大事なことなんだが、PERが同じなら、株価が20ドルだろうと200ドルだろうと、同じ意味合いのものなんだ。
ファンドマネージャーが株を買う時、成長率しか見ていないと言ってもいいだろう。株の単価は問題じゃないんだ。
株価の計算方式、株価=1株利益 x マルチプルという数式だけで考えると、Googleの値段は、上場当初から600ドルになった時点まで、ずっと安かったんだ。そして740でピークを迎えたんだ。
2008年の下落相場によって、Googleは”将軍”の座を降りることとなったが。しかし、それは素晴らしい何年間にも及ぶラリーの後のことだ。
もし、あなたが規律に従って行動し、利益をきちんと確定していたとすると、株価の上昇によって、大きな利益を得たことだと思う。
視聴者の質問:
Q: Googleの今後10年スパンの長期に渡ってなら、Googleをロングでいいんじゃないでしょうか。
A: 条件があって、まずマネージメントがしっかり機能し続けること。そして紙媒体からオンラインへの変化に関する成長が伸びていく間は、あなたの考えは全く持って正しい。Googleは今、長期成長のモードへと移りつつある。現在もシェアをのばしているとも言い換えられるが、サイクル的に下がってしまっている。広告費が削られているからね。そういう意味で考えると、今の株価は買いにふさわしいレベルだと思う。いずれリセッションが終わるという見通しを持ってるのならね。そうじゃなければ、買いではないだろう。
Q: ハイテクバブルが弾けたときのことを教えて欲しいんですが、どんなことが教訓となっていますか。
A: あの時代を振り返れば、信じられないほどの過剰設備になっていたってことだ。過剰な設備投資がそこかしこに見られたこと。だが、私が学んだ一番のことは、マーケットで人々が、会社の業績でなく、売り上げの高さで判断をするようになったら、それは売り抜けのサインになるってことだ。
ーCM開けー
87年10月19日。ブラックマンデー。
今日のCNBC20周年祝いで、何か一つお土産に持ってかえってもらうとしたら、このアイディアを持ってかえって欲しい。
株を常時持っておく必要はない、ということ。
現金にする。そして、相場を脇から眺め、待つこと。現金は株での運用に代替するベストなものとなる時がある。もし私のアドバイスに従って、去年の9月19日にダウが11300の時に20%現金化していたら、去年第四四半期の大幅な下落を逃れることが出来ていた。そして、この3月まで待つことが出来てたはずだ。もし私が10月6日ダウが10000を割った日に言ったように、今後5年間に使う予定の予算を全て現金化していたなら、より多くの資産を守れただろう。そして思い出して欲しいのは、この2つのアナウンスは、どちらもLeman Brothersにの暴落の後に話したことだったということだ。非常に悪いニュースだった。そしてそれが3月までしか続かなかった"月並みの恐慌"の始まりだったってことだ。この期間、現金は株に比べ、非常に優れた運用手段になったはずだ。この、キャッシュがキングとなりうるということを、私は1987年のブラックマンデーの時に学んだ。
他のレッスンに比べ、ブラックマンデーを見抜くのは簡単だった。私はこの日100%キャッシュポジションだったんだ。そして、この行動が私のキャリアを決定づけたし、ヘッジファンドの成功を促した。あのときにはCNBCもなかった。
私が1987年のクラッシュから学んだことは、今回の金融危機で学んだことと同じだ。
ブラックマンデーの前週に、ダウは歴史上最大の下げを見せていた。私は、失った利益をどう回復させるか思案するよりも先に、ここから先のダウンサイドの方をこそ、心配したんだ。
株価が暴落したとき、人は往々にして損切りすることをためらってしまう。相場の回復を夢見てしまうからだ。しかし、そんな儚い希望を、ロジカルな理由を計る目を曇らせるものとしてはいけない。
私が言ったことを思い出すんだ。希望は、マーケットを形成する要素には含まれない、ということを。
マーケットの動きを嫌って100%のキャッシュポジションにすることなど聞いたことがなかった。それでも私はそうしたけれど。なぜなら、より大きな売りがくると考えたからだ。当時マーケットの動きは暴れ狂っていたし、PERも27倍の高水準だった。様々なクレイジーなことが起こっていて、私はそれに嫌気がさしてもいた。
現在でもほとんどの投資家は100% のキャッシュポジションを持つことをしない。ミューチャルファンドは、大抵、15%キャッシュポジションにすることだけでも、非常にベアなポジショニングとなっている。
ミューチャルファンドは大抵下げ相場から逃げることをしない。マネーマネージャーは、相場の反転で得られるかもしれないリターンのチャンスを逃したくはないんだ。でもそれでもかまわないんだ。だって競合他社も同じだからだ。
だから、彼らにとっては相場にとどまるインセンティブの方が高い。評価はたのファンドとの競争だからだ。
だから、あなただけが、自分のお金の心配をするあなただけが、損切りをして売り抜けることが出来るんだ。
そしてこれこそが、私が個人投資家の方が、より良く自分自身の資産を管理することが可能だと思う最大の理由だ。
マーケットがクラッシュするとき、あなたにはキャッシュポジションを取る意思決定を実行する力があるんだ。そしてより株価が低くなった時に買い戻ることを可能にする。
結論:キャッシュポジションを持つことは単なるオプションでなく、マーケットがますます下落していく際においては、最良の選択となるんだ。
視聴者からの質問:
Q: 通常のマーケットで、利益を確定させる際の、特定のルールはありますか? 20%アップなら売るとか、そういう決まったルールというのはあるんでしょうか。
A: 素晴らしい質問だ。だが、どらくらい上がったら売りというようなルールは言えない。というのは、時にマーケットは熱狂的に上がり続けることがあるからだ。ただ、大事なのは、9月の時のように、ダウが一日で400や500下がるなんていうのは明らかにおかしなサインだ。そういうおかしな動きを見たなら、とにかく逃げた方がいい。というのは、マーケットが完全に狂ってしまった状態になったことを示しているからだ。ノーマルなマーケットの時には、利益が大きくのった段階で、一部を確定して行くのも悪くないことだ。例えば、まずは、その利益の乗った銘柄の25%を売ってみる。将来の値上がりの可能性にアグレッシブになるなら、20%だけ売ってみる。相場の上昇による機会利益を失わないようにするんだ。そして、高値を付けるに合わせて、順次部分的に売り抜けていくというのがいいだろう。しかし、利益を確定していくことは、大きな相場の下落での損失を防ぐためにも重要だ。そして相場の下落はいずれ起こることなんだ。
ー来週に続くー
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踏み上げさんのブログからきました。
返信削除英語が全然わからないので、翻訳してもらうと大変ありがたいです。
更新のたびこさせてもらいます。
秀逸なトピック、そしてこの翻訳力。
返信削除日本語で読ませていただいて、ありがたいの一言です。
RSSにも登録させていただきました。
大変な手間がかかっていると思いますので、細く長く続けられることを望みます。
匿名さん
返信削除こちらこそ、読んで戴いて有り難うございます! 今後とも宜しくお願いします。
GiGiさん
翻訳力なんて、お褒め戴き有り難うございます! まだまだです。特に今月曜日の放送見てるんですが、今日は難しい。。。。
今回、記事のアップは明日になってしまうと思いますが、極力放送日翌日、ポッドキャストが出た日の間にしたいと思っています。
また見にいらしてください。