2009年4月30日木曜日

2009年4月29日(水): ジムクレイマー MAD MONEY



今日の株価終値:
Dow Industrials (.DJI) 8,185.73 △168.78 (+2.11%) Volume 300M
NASDAQ Composite (.IXIC) 1,711.94 △38.13 (+2.28%) Volume 2,147M

予想以下の四半期GDPの発表があり、プロダクションも大きく下げてるというのに、どうしてダウは169ポイントも上昇したのだろうか。

この市場を理解するためには、ベア派が唱える論点を理解する必要があるだろう。

ベアはここんとこ毎日殺され続けてる。ベア派の理論武装が日々解体されていってしまてるからだ。
だから、それらの論点をさらにひっくり返すことが出来れば、さらに多くのベアが市場から離れていってしまうっていうことなんだ。当然株価は高くなっていく。

例えばこの番組で話してきた、市場から去っていったベア達。

『経済刺激策は上手く行きっこない派ベア』
『銀行を国有化すべき派ベア』
『FEDの金利引き下げは効果無し派ベア』
そして、今日血祭りに上げられたベア!
『我々は今、”日本の失われた10年”と同じ状態にいる派ベア』

私は今日宣言する! 我々は日本のようにはならない!

今回の経済危機が始まって、アメリカは日本の失われた10年と同じ過ちを繰り返す、という議論がなされてきた。

住宅市場の下落。金融機関の崩壊。そういう類似性があったからね。政府がゾンビ銀行をサポートしてるという点も、この議論の中にあった。日経平均は、そのピークから85%も下がったんだ。

この、アメリカも日本と同じ道を辿るという議論は、非常に恐ろしいものだった。数ヶ月前までは本当のことのように見える状態だったからね。

そして、ベアはそこに投機をかけ、市場を下げまくった。

だが、実際のアメリカの状況は日本とは大きく異なっていたんだ。

ドメスティックプロダクトグロースリポートで今日確認されたことだ。GDPは、6.1%の下落と予想を大きく下回り、日本と同じ状況のように見えたが、この数字は重要ではないんだ。

なぜ、GDPの下落は予想よりひどかったのだろうか。それは、日本のようにゾンビ化してる訳じゃなく、企業の在庫量減少や、政府の財政出動によるものなんだ。

政府は刺激策として、過去に例がないほど、とんでもない物量の資金を投入している。そして、今年後半にはその成果が見えてきそうな状況だ。そして、そのことで、GDPが下がることは、別に悪いニュースではない。在庫はどうだろうか。在庫が減ることは実際いいニュースだ。企業が景気縮小時に必要なアクションを取っているという証拠だ。

リセッションは、過剰在庫が捌けるまでは終わらない。そして、最近のニュースから、在庫量は底をつきつつあり、成長へ向けてのスタートラインにたてそうだ、ってことなんだ。少なくとも、ここからさらに縮小されてしまうことはないレベルになってる。

日本と最も違う部分は、コンシューマースペンディングが2.2%上昇していることだ。我々は消費にお金を使っている。ここが当時の日本と根本的に違っているところなんだ。彼らは消費を始めなかったが、我々は消費を止められなかった。そしてその指向性は我々の経済にとって素晴らしいものなんだ。

コラムニストや教授達。彼らは市場で儲けたことが無い人々だろうが、この「我々は日本と同じだ」論調は、非常に馬鹿げている。

日本とアメリカの構造的な違いは無視出来ないレベルなんだ。まずは人口の問題。日本の人口は増加しないが、アメリカは今後も人口が増えていく。出生率の違いもそうだが、移民政策の違いがこの人口増加率の違いを生んでる。人口が増えれば消費も増える。簡単なことだ。

アメリカは平均年齢36歳。日本44歳。つまり、日本の方がリタイアする人口が多く、生産しない世代が多くなっているし、消費にも回していないということなんだ。

我々の経済は輸出に頼ってはいないが、日本の経済は輸出に依存している。だから、構造が全く違うんだ。

インダストリアルプロダクションの縮小はアメリカ2.2%に対して日本は3.2%。

そして、我々はこの経済危機を、日本よりも上手く処理している。日本は、損失を認めるまでに時間がかかったが、我々は迅速に対応している。

結論:ベアは、その拠り所となる論拠を失い続けている。今日のGDPレポートの内容を見れば、彼らは「日本と同じだ」という議論を唱えることが出来なくなったんだ! 彼らの最大のネガティブな武器だった論拠を失ったんだよ。そして、ベアが拠り所を失った以上、株価を大きく下げることは出来なくなったということだ。

視聴者からの質問:
Q: もしあなたが提唱するように、レバレッジをかけたETFが禁止されたとしたら、その銘柄を所有している人間はどうなってしまうんですか?
A: 関係者の話からすると、SECが簡単に禁止するようには思えない。私はそれでも禁止すべきだと声に出してプロモートしていくつもりだが。バーナンキの権限で潰して欲しいと思っている。レバレッジETFはマージンコールを無視出来るからだ。話を戻すと、レバレッジETFが禁止になるならないは別として、皆さんはこのような金融商品は買って欲しくない。下げを狙うのなら、別の方法でトレードして欲しいと思っているんだ。

Q: FEDのレポートで、ゼロ金利を継続する、というのとリセッションの最悪期は過ぎた可能性が高いという話をしていましたが、ゼロ金利政策の継続とインフレが市場にとって新たなハードルになるのではと危惧しています。
A: もう一度FEDのレポートを詳しく読み返して欲しい。インフレが発生すればFEDは機敏に動くことだろう。だから、そんなには心配していない。

Q: BIG Big Lots は、PERも競合他社に比べて低い状態ですが、業績は悪くなさそうですし、拡大していくというアナウンスもありました。それでもやっぱりFDO Family Dollarの方がお薦めなんでしょうか。
A: (ジムはFDOを過去勧めてたが、株価的にはBIGの圧勝)私は未だにFDOの方が良いと考えている。グロオースマージンも高いし、BIGは、私は確かにバイアスを持っているかも知れないが、いい会社じゃないと考えている。それでもFDOよりBIGが良いと思うなら、私なら(FDOでないなら)TJXを買う。

ーCM開けー
CEOインタビュー:

私は、ポートフォリオにインフレに対する保険的なものを、防御策として組み込むべきだと考えている。
そして、ゴールドか、ゴールド採掘銘柄を取り入れるべきだと考えている。インフレ時には、貴金属は値上がりするし、経済が不安定な状態なときにも上昇するからだ。

現在は、ゴールドは結構値下がりをしている。私自身は、今インフレ対応としてゴールド関連のポジションを作り始めるのにはちょうど良いタイミングだと思っている。

AEM Agnico-Eagle Mn. 46.80

今日の引け後に私が予想していた以上の良い決算を出した。

政府の資金注入や、金利の低下で、景気が回復すればインフレの可能性があるし、同時にゴールドETFにも大きな資金が集まっており、それがゴールドへの大きな買い圧力となってきている。

ETF銘柄だと、GLDがお薦めだ。中国も金の大きな購入者だ。リザーブは2003年から76%上昇している。中央銀行はゴールド売りをしていない。

今日の決算を見た後思ったことは、AEMは、ゴールドへの直接投資の代替案となるのか、ということだ。

AEMは、金の採掘量を増やしていってる。そうなれば、採掘コストは下がる。その点でこの会社には魅力があると思ってるんだ。

そこで、CEO Boyd氏にお話を伺おう。

J: 過去の決算発表では、コストダウンの可能性に関しては示されてませんでしたが、今回の決算では、コストダウンの見通しが見えたように私は感じたのですが、それは合理的な判断でしょうか。
B: ケベックの金鉱のコストパフォーマンスは素晴らしい結果でしたし、今後の見通しとして、年内に6つの金鉱のオペレーションが開始されます。そこで、プロダクションコストはかなり見栄えのするものになるでしょう。

J: コストについてもう少しお伺いします。私がゴールド関連銘柄として貴社をお薦めするのは、採掘ボリュームの大きさと、それに付随するローコストオペレーションからです。新しい金鉱のオペレーションは、コストを上げるんですか、下げるんですか?
B: コストは、$312/Ozになるでしょう。ですから、非常に高いマージンを持っています。そして採掘量も大きく成長していっています。ETFも、ゴールドプレイの一つの方法ですが、個別銘柄においても、株価の値上がりが期待出来、ローコストで、大きな採掘量を持っており、財務が健全で政治的な問題も無く、配当をきちんと出し、長期に渡ってコンスタントに良い採掘結果を出してきてる会社というのは魅力があるものだと思いますし、弊社はその一つだと考えております。

J: おっしゃる通り、長期に渡ってきちんと採掘結果を出してきてるのは重要だと思います。私がGSに居た時に勧めてきたゴールド関連の会社の中には、埋蔵量が底つきてしまった会社もあります。ですのでお聞きしますが、埋蔵量は今後何年持ちこたえることが可能なんでしょうか。
B: 現在のリザーブベースで、最低15年です。そして今後の成長に関しては、既存の金鉱の周りでさらなる金鉱の発見に力を注いでいるところです。

J: メキシコでの採掘に関してはどうですか。豚インフルエンザの影響は?
B: 豚インフルの影響で稼働を止めるということは今のところありません。予定通り、7−8月からオペレーションを開始するつもりです。この金鉱は別の拡大フェーズの一環です。この拡大の予定は、少なくとも現在稼働している6つのうち4つの金鉱で、採掘範囲を広げていく、というものです。

J: それらの新しい金鉱の開発は、コスト上昇につながりませんか。
B: 基本的に既存のエリアでの拡張であり、既存のコストの範囲内で行う事業なので、コストアップの要因にはつながりません。

J: 金鉱株は、大きな配当が魅力ですが、貴社はそのモデルに従う予定はあるのですか?
B: 配当をきっちり出すことは我々のビジネスモデルのひとつです。27年連続で配当を出し続けています。そして、我々は過去からずっとゴールドの先物には手を出していないということに誇りを持っています。

J: 私が貴社をお薦めする理由もそこにあります。純粋に金鉱会社として活動されてて、配当も出し続けられてるし、金を投機に使うような真似もされない。どうもありがとうございました。

今は景気の後退期の中にあるし、バーナンキは今後も上手く舵取りをしてくれるとは思っているが、でもポートフォリオの中にインフレに対するヘッジをかけていくのは、投資家として責任ある行動だと考えている。

ーCM開けー
CEOインタビュー:
PNRA Penera Bread 55.38

39%もの業績アップを発表しながら、評価が12%も下がってしまうなんてことが起こるのは、株式市場だけだ。

というのは、結果は市場の予想と同じだったからだ。そして、来期のガイダンスは市場予測のローエンドだった。

これがPNRAに起こった馬鹿げた話だ。

実際のところ、PNRAは素晴らしい会社だし、来期の予測も、バーを下げた訳ではなかったんだが。

だから、今期の結果に対しての失望売りは、完璧に狂った判断だと思う。今期の結果を嫌がったとしても、それを売りの材料にすべきではない。

ありきたりの恐慌の終わりのサインが出てて、経済は回復基調の兆しを見せてる。それは、レストラン業界にとって素晴らしいニュースだ。例え豚インフルエンザが近未来の大きな問題になったとしてもね。

レストラン業界は、TARPからの支援を受けない業界だ。だから、弱者は去り行く運命にある。PNRAには素晴らしい状況だ。素晴らしい財務状況だし、今後競争が減ることが予想されるからね。

個人消費の伸びも2.2%と示されてきている。今こそPNRAを買うべきときだと思う。

石油価格や原材料価格の下落からも恩恵を受けてる。食材と包装材費がPNRAのコストの30%を占めている。そして、小麦価格の下落をきちんとロックしている。昨年より36%低い価格で。

成長期にあるレストランを見る時、私はいつも、その会社の拡大の余地があるかどうかを確認する。41州に展開しているが、他の大型チェーン店に比べ、まだまだ数は少ない。拡大の余地は充分あると思う。

アナリストは明日にでもチャートを崩したことでダウングレードするだろう。だが、チャートの崩れと、会社自体の崩れとは関係ない。こういう時こそ買いに入るべきチャンスなんだ。

そこで、CEOのShake氏に話を聞こう。

Jim: 今日は失望売りが出ましたが。7回連続市場予想を上回るかキープし続けているのは凄いことだと思うですが。
Shake: 我々は少なくともガイダンスを守りましたし、今後もそうするつもりです。大事なのは、弊社の株は、昨年50%アップし、今年に入ってからも20%の上昇です。それに我々が気に掛けているのは、日々の株価の推移ではなく、長期に渡る業績の上昇です。5年10年単位で見ています。今までも大きく成長してきてますし、ファンダメンタルは非常に良いです。この四半期決算でも39%アップです。

J: 上場企業にとって、素晴らしい成長を遂げていても株価が評価されないというのは非常にフラストレーションがたまることじゃないですか。
S: 私は上場企業のCEOを他の企業含め18年続けています。確かに市場の動きは理解しがたいこともありますが、企業として、市場を見るのでなく、顧客にフォーカスすることが最も重要だと認識しています。

J: 来期のガイダンスは少し保守的な気がするんですが。
S: 企業としての責任は、正しくフェアな予測をたてて、それを乗り越えるべく努力を続けることだと考えています。今期は新商品の発表で素晴らしい成果を上げていますが、来期もその状態が持続するとはいいきれないところがあります。ですので、新商品の熱が冷める可能性も含めて現実的な数字を上げているつもりです。我々は、株価の急激な上昇を望んでいません。長期に渡った成長にあったレベルを望んでいるんです。

J: チャート派は時にチャートのみで売りの判断をするけれど、今回は特に買いに入るべきチャンスを与えてくれると私は考えているんです。で、競合によって何か変わってますか。戦略の変更等は?
S:この15年間、我々の戦略に変更は全くありません。人手の関わった本当の食を消費者に届けるというコアな考えはまったくぶれていません。短期の環境の変化は気にしていません。我々のこのビジョンを真摯に継続して事業をしていく限り、成長も続けるだろうし、株価もそれに反映されると考えています。我が社の現実としては、我々は素晴らしいコンセプトを持っていて、全米どこでも受け入れられるものであり、利益率も高く、我々にはまだまだ成長する余地があります。逆に、我々は、求められる需要に追いつくことが出来るだろうかという風に自問しているところなんです。

J: モールでも空室率が上がっていますが、Au Bon Pain のようにモール出店を加速させて成長させるという方法は取らないんですか。
S: 私はAu Bon Painの共同設立者でもありますから、モール戦略は理解していますが、我々はモールの中に入って失う自由を考慮して、モール出店という戦略を取り入れていません。

J: どうもありがとうございました。


Lightning Round:
始める前に、FSLRが素晴らしい決算を出して、アフターアワーで25ポイントもの上昇をしている。これによって石油が若干下がる可能性もあるね。

Q: WMT Wal Mart 50.23
A: 長期ではいいとは思うが、今は利益確定していいところだと思う。というのは、市場の志向が動いていっている状況だから、この株はしばらくこのレベルでの動きになると考えているからだ。

Q: DNDN Dendreon 23.05
A: 私はこの株の判断をしかねる。というのは今日95%もの上昇だ。これは私自身はショート筋の踏み上げだと思ってる。そして、私はショートの踏み上げがあった際は、すぐさま売却することを心情としている。だから、すぐさま利益確定して売却すべきだと思う。

Q: JEC Jacobs Engineering 40.00
A: 今はインフラ銘柄は先行き不透明だ。原油価格の行く末もよく分からない状態だしね。だから投資判断はニュートラルだ。買わなくてよい。

Q: NUE Nucor 38.40
A: 鉄関連は心配している。US Stealの決算で、業績が止まっていることが見受けられた。2次産業もまだ上手く回っていない。NUEの製品プロファイルは素晴らしいものだが業績はまだ上がらないと思う。売り。

Q: ATVI Activision Blizzard 10.65
A: 売り。ゲーム関連はまだ良くないと思う。

Q: CNQ Canadian Nat Res 46.30
A: 資源関係ならCOPの方が買いだ。

Am I Diversified?:
ー省略ー

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2009年4月29日水曜日

2009年4月28日(火): ジムクレイマー MAD MONEY







今日の株価終値:
Dow Industrials (.DJI) 8,016.95 ▼8.05 (-0.10%) Volume 274M
NASDAQ Composite (.IXIC) 1,673.81 ▼5.60 (-0.33%) Volume 1,997M

もし、あなたがウォールストリートがどうやって株価の動きを操作してるのかを分かっていなかったとしたら、大損をさせられたかもしれない。

その例として、医薬品大企業のBMYと住宅金物関連+酒類販売のFOのヘッドラインニュースに注目して欲しい。

BMY: 第一四半期の結果は素晴らしいものだった! キーフランチャイズも製品もトップレベルで手堅い成長を上げており、3.15%の配当も含め、素晴らしい成績だ。

さて、FOはどうだったろうか。

FO: 第一四半期は厳しいものになるという予想を出した。そして、配当を57%も削減すると発表。

そして何が起こっただろうか。

ウォールストリートは、また重力を無視するかのごとき動きをした。

FOは、3.89%も値を上げた。だがBMYはこてんぱんにやられた。-4.33%もの下落だ。

信じられないだろう? 全く逆が起こると思ったんじゃないかな。私が株を始めた時、そう思ってたようにね。

私はこのようなおかしな現象を何度となく見てきている。そして、このことを投資を始めた時に理解していたなら、大きなお金を失わずにすんだだろうに、と思い返すものさ。

今我々はちょうど経済の転換期に来ている。今日のリポートで消費者信頼指数が12ポイントも上昇した。
リッチモンドのFEDとダラスのFEDの速報で、州内のビジネス活動が、実際に増えてきていることを発表した。私はいつも地方のFEDのレポートを読んでる。これらは非常に有益なものだ。実際に、各地でビジネス活動の改善が見られているんだ。信じたくないことかもしれないし、無視したいことかもしれないけれど、現実に事態は好転しているんだ。

そして、経済の風向きが変わった時には、BMYのような会社の株を持っていてはいけないんだ。例えどれだけ業績が良かったとしてもね(実際素晴らしかったけれど)。そして、鼻をつまみながらでも、FOのような株を買うべきなんだ。たとえ今回みたく大きく配当を減らされたとしてもだ。

株価は未来を見て値付けされてる。だから、過去がどんなに素晴らしくても全く意味がないものなんだ。

個別企業の業績ではなく、マクロ経済がどうなるかが大きな影響を与えているんだ。

私はこれからもこのポイントを何度もお話しするだろう。とくに、今のような状況下では、企業に関するニュースのヘッドラインが、株の銘柄選択に関して誤った判断を導く可能性が高いからだ。

視聴者のみんなには、こんなヘッドラインに惑わされないようにして欲しいんだ。ヘッドラインは嘘をついてる。心配するのをやめよう。市場が狂ってる訳じゃないんだ。ニュースの方が間違ってるんだ。なぜなら、会社の現時点での状況のみを語るだけで、経済全体を含め、今後株価がどういう方向になるかということは記されない。だが、ウォールストリートの論理は違う部分で動いているんだ。

私はそのことを皆さんにお伝えしてお手伝いしたいと思っている。

私の判断はこうだ。BMYの決算は確かに良かったが、それだけだ。FOは、予想されたよりも悪くない決算だったんだ。それ以上に、マクロ経済に影響する指標が良くなっていることを見て、市場はそれに対しての動きを見せてきているんだ。だから、今回の株の動きは、ウォールストリートの心理としては当たり前のことだし、実際、大口投資家を含めた市場が、本気で経済の回復基調を認めだしたというサインになったと思っている。

いいニュースが出た時が買い時という訳ではないんだ。FOが、配当を元に戻したり、好決算を出したというニュースがいずれ出るだろう。だがその時は、既に株価は高い水準まで上がってしまった後になるだろう。

一般的な個人投資家にとっては、今回の例は、納得がいかないし理解しがたいことかもしれないが、それは、あなたが正しい見方をしていないってことなんだ。株価は6−9ヶ月先を見ている。

BMYは、一年間のトータルリターンで、-6%の下げでしかない。これは、市場平均よりずっと良いリターンだ。FOは、ミスフォーチュンブランドと読んでいいくらい、一年間のトータルリターン-42%という結果になっている。市場平均よりもずっと悪い。

マクロの経済が転換期を迎えている今、この状況がちょうど逆転しつつあるということを市場は見ているんだ。

私がヘッジファンドをやって時は、常に”ワールドビュー”ということを心がけていた。今から6−9ヶ月後に、世界の経済はどうなっているのかを考えていたんだ。株価は常に未来を予想して値段付けされるからだ。

私が去年、住宅市場の底打ちを、今年6月末だと予測したのも、ワールドビューを考えてのことだ。住宅市場の底打ちが起こることが近いとすれば、FOが酷い決算を出すことが発表されたあとでも株価が上昇することに納得がいくだろう。そして、将来の経済状況を予想することは非常に重要なんだ。

機関投資家は、会社の現状を対して気にはしない。それよりも、今後6−9ヶ月後にどうなってるかをこそ投資判断の材料とする。

6−9ヶ月後には、FOはずっと良い状況になるだろう。だがBMYは、今と変わらない状況だろうからね。

経済が上昇局面になるとき、市場は、もっとも良くなると思われる銘柄を評価する。現在の良い業績の数字を評価するのではなく。そして、もっとも良くなると思われるものを、実際の業績結果が現れるずっと前に評価するんだ。なぜなら、市場は将来の予測をこそ重要視するからだ。過去の実績でなく。

だからあなたも、現状の業績に左右されず、将来の業績を予想して、先回りして銘柄を選定すべきなんだ。


視聴者からの質問:
Q: ショート筋に対してアップティックルールが意味をなすなら、ロング筋に対して、ダウンティックルールを設けるのがいいんじゃないですか?
A: 意図的に株価を上昇させること自体は調査する必要があるかもしれないが、基本的に、株価が上昇することに関しては、悪いことではないので、規制する意味が無い。ただダウンサイドに対しては、必要以上に相場を壊すやからがいるので、相場を守るためにも規制は必要だ。

Q: 地方のFEDのレポートを見ると、リッチモンドやダラスは確かに良いですが、NYや他の州では悪いレポートが出ていて、単純に判断しかねる状態だと思うのですが。
A: 素晴らしい質問だ。私が大事にしていることは、少数の地方ではあって、実際にビジネスが好調になってきたという証拠が出始めてきたということだ。今までは全てネガティブだったからね。だから、一部であれ、好調な地域が出てくることが、市場回復が始まったという明白なサインだと考えているんだ。そして、ポジティブなサインが出てきたということが、将来を予想する市場にとっては重要なことなんだ。

Q: 私は短期トレーダーです。豚インフルエンザのニュースに絡み、原油は下落するんじゃないかと予想してるんですが、どう思われますか。
A: 私はチャート派じゃないんで、ファンダメンタルな面で見ているが、原油の需要自体は引き続き現状維持だと思うし、供給面では、採掘を取りやめているところや、メキシコからの供給が増えない可能性も含め、需要自体が増えている訳ではない。だから、需給レベルで判断するに、そんなに値を下げることはないんじゃないかと思っている。だが、短期でどうなるかは分からない部分があるので、ご自分で判断して欲しい。

ーCM開けー
CEOインタビュー:

住宅市場が、今の経済にとって一番重要な問題だ。住宅市場が安定し、そして回復すれば、相場に好循環が生まれてくるだろう。今までの悪循環の要因は、住宅市場の下落から、住宅ローン資産の毀損という形で広がっていたからね。

私はこの6月末に住宅市場は底打ちすると予測している。これに関する確認作業は非常に大切だ。

まず価格から。今日ケースシラー指数の発表があった。25ヶ月で初めて、下落しなかった。ナショナルミディアムホームプライスは、過去2ヶ月上昇している。ホームオーナー空室率は、8年第四四半期の2.9%下落から、9年第一四半期は2.7%下落とスピードを若干緩めている。これは2006年後半レベルと同じになっている。

これらのサインは、市場が以前より確実に良くなっていることを示す証拠だと思うし、メディアで報道されるよりずっと良いレベルだ。

だが、住宅市場の底を確かめるのに最も重要なのは、この国で一番酷く住宅バブルが弾けた地域のことを調べることだろう。カリフォルニアやフロリダだ。

カリフォルニアでは、3月の新規建築申請数が47%下落しているが、全国平均は48%だ。そして、先週の放送のCEOインタビューで、TOLL BROS のRobert氏は、カリフォルニアの底打ちが近いようだし、その他の地区も大きくばらついてるわけではない、というコメントをしてくれていた。

声を大にして言わねばならないんだが、あの放送の後、番組に関する記事をしらみつぶしに調べたが、誰も彼のコメントにかんして注意を全く払ってくれていなかった。

さて、フロリダについてはどうだろう。フロリダも新規建築申請数が47%ダウン。しかし、全国平均よりは良い結果だ。失業率は2月に9.4%。カリフォルニアよりはましだが、全国平均と比べれば未だ多い数字だ。

私は住宅のプロではない。そこで、今日は少々イレギュラーなことなんだが、フロリダで住宅を造る、上場企業ではない、プライベートカンパニーのCEOに、住宅事情についてお話を伺おうと思う。

ICI HOMES. 全米でも最大規模の住宅建築に関するプライベート企業だ。そしてフロリダを拠点としている。

プライベート企業なので、株価に気兼ねをすることなく、忌憚なき現状を話して戴けると期待している。

Jim: 小耳にはさんだんですが、この4月の売り上げは、2006年の4月以来でもっとも大きなものだったとか、本当ですか!
Mori Hossini: はい。有り難いことに本当です。
J: 信じられない! 巷では、住宅市場に関するネガティブなニュースばかりなのに、凄い話ですね!
M: 私どものところでは、2月は住宅価格に下げ止まりました。住宅建設業の株価を見ても、2月に底打ちしています。2001年にも同様に株価の底値と同時期に住宅価格は下げ止まっていました。
J: もう少し具体的に話して戴けますか。
M: 4月で、80件の住宅が売れました。
J: 他の住宅建築会社も同様じゃないですか。
M: はい、他の会社も同様な業績です。
J: なぜ、巷のニュースは住宅市場はまだまだ底打ちしないというのでしょうか。現に今私が、この国で最も打撃を受けた地域のCEOであるあなたの口から、2月を境に住宅市場は好転しているという話をお聞きしているにも関わらず。
M: メディアは基本的に将来を予想したがっているから、違う意見を述べるのでしょう。私自身、現時点が底だと言うつもりはありませんが、少なくとも市場は大きく改善してきているというのを実感しています。
J: この現象は、価格が下がってお買い得感が出たからでしょうか。それとも、住宅ローンの利率が下がったことが影響しているんでしょうか。
M: ファーストタイムバイヤーへの支援策などから、賃貸よりも、購入にメリットがあると感じる人が増えたと言えるでしょう。
J: そのポイントは非常に重要だと思います! 評論家は誰も取り上げていませんが、おっしゃる通り、現在、賃貸よりも買う方が安い状況になっている、ということは大きな購買意欲となっていると思います。
M: 私たちはセールス資料で、当社から家を買えば、年間9000ドルで、賃貸だと13000ドルという比較を出しています。そして、ミニマム3%のインフレーションを考えると、さらにお得だと思います。
J: 私の、6月末、住宅市場底打ち宣言は馬鹿げていると思いますか?
M: 6月末かもしれないし、9月末かもしれませんが、底は確実に近づいていると思います。
J: ありがとうございました。

私はこのお話をきいて、ますます6月末ボトム説を確信している。

ーCM開けー
OFF THE CHART:
私はファンダメンタルを重視するが、機関投資家はチャートを投資の判断とすることがある。だからチャートも無視出来ない。そして今日の題目はこれだ。

YUM Yum! Brands 33.81

タコベル、ピザハット、KFCを傘下にする会社だ。ファンダメンタルはもちろん素晴らしい。だが、チャートは私の意見と反対を述べている。

チャート派の分析では、この株はここからかなりの下げを打つだろうというんだ。チャート派は今は買い時でないといい、私は今が買い時だと思っている。

チャート派の同僚は、BACの底を当てた男だし、彼の意見には耳を傾けるべき点があると思っている。だから、この株に投資する際のダウンサイドのリスクについて、チャートで考えてみよう。

彼はチャートを見て、YUMはここからのアップサイドは少なく、逆に結構な下げとなる可能性を見ている。なぜなら買い手が買い疲れていることが、見受けられるからだ。アップトレンドラインとその後のダウントレンドラインを見て、上値抵抗線があるため、そのレベルにまで株価が上昇すると、チャート派は、一旦売りに走ることになると予想されるんだ。そして、現状抵抗線レベルにまで達しているので、ここからの上値は無く、ダウントレンドに従えば下がる可能性が高いというわけなんだ。



そして、ダウンサイドを予測するさらなる理由はTDセットアップだ。9週間ごとのモーメンタムがチャートから見受けられていて、今回のラリーは現在7週目だが、過去のチャートを見る限り、9週目のレベルでは下げに転じている。これが彼の分析の要素になているんだ。




私がこの説明を受けた時、びっくりした。確かに9週ごとに動きが出ている!

だがしかし、ファンダメンタリストの私は、それでもこの株は買い時だと思っている。素晴らしい決算を出したし、景気回復期において、株価はさらに上を目指すと思っているんだ。レストラン業界自体が旬の業界になってるし、YUMはその中でもベストだからね。

景気後退局面の間に、中小企業は大きなダメージを負っている。だからこそ、大企業のYUMには、さらなる飛躍のチャンスがあるんだ。競争の激化で、勝者と敗者がはっきりする状況であり、この企業はまさに勝者だからだ。

グローバルプレーヤーで、二桁成長を続けている。この成長率こそ市場を大きく引きつけるものだ。
素晴らしいバランスシートとキャッシュフローはもちろん、業界をリードする利益率。中国へも大きく投資を続けている。そして中国関連で、利益の30%、成長の50%を獲得しているんだ。

結論:ここからの若干の調整はある可能性は確かにある。しかし、私はリスクを取ってでも、この株に投資する。なぜなら、まだまだ高成長を続ける企業だからだ。そして、チャート派が間違っていることを示してくれると思っている。

視聴者からの質問:
Q: KFCの新商品はめちゃくちゃ美味しいです。早くから並んだのに売り切れだったし、女性もたくさんかってます。試してください!
A: 生の市場情報ありがとう。でも、質問は????

Q: KO と MCDを持ってるんですが、どちらも食品関連なので、分散出来てないし、どちらかを売った方がいいかと思ってるんですが、なかなかタイミングも計れず、どうしたものでしょうか?
A: ポートフォリオとしてじゃなく、企業として見てみようか。確かにどちらも似たような株価の動きをしている。どちらを取るかと言えば、MCDを取る。というのは、成長性がMCDの方が高いからだ。だから、KOを売りで、MCDをホールドは正しい選択だと思う。

Lightning Round:
Q: BCSI Blue Coat System 13.56
A: 私はウェブインフラ銘柄と名付けてるんだが、この手の銘柄は思ったほど伸びが無い。私なら買わない。

Q: CSTR Coinsar 32.19
A: 十分値を上げた。ここらで売りでいいだろう。

Q: WMB The Williams Cos 13.14
A: ナチュラルガスの価格は低いし、ここの配当も低い。同一セクターなら、高配当のEPDの方がいい。売り。

Q: KSU Kansas City So. 14.91
A: UNPの方がいい。UNPを買い!

Q: BWLD Buffalo Wild Wings 38.42
A: レストラン業界で2番目に熱心に研究した銘柄だ。CEOは素晴らしい。だが、今は株価が充分上げたところだ。利益確定していい時だと思う。

Q: HON Honeywell 29.54
A: 30ドル以下の今の株価は非常にお買い得だ。今後の成長も多いに期待されるし、長く持っておきたい株だ。買い!

MAD MAIL:
Q: どうして、LRCX Lam Research が、四半期決算を、予想を下回る結果で出したにも関わらず、市場が下げてる中で7%もの上昇を示したのでしょう。しかも、通常の2倍の出来高で。
A: 今日最初に話したことと同じ意味を持つ株価の動きなんだが、セミコン業界が回復期にあるので、セミコン装置業界も先回りして買われているんだ。

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2009年4月27日(月): ジムクレイマー MAD MONEY

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今日の株価終値:
Dow Industrials (.DJI) 8,025.00 ▼51.29 (-0.64%)
NASDAQ Composite (.IXIC) 1,679.41 ▼14.88 (-0.88%)

誰もがオバマ大統領就任後100日ということで、判断を下したがってる。主観的なスタンダードを使ったり、バイアスのかかった見方、イデオロギー、そして扇情的な形でね。

だがこの番組は違う。この番組では、相場がどうだったかで評価することとしよう。

そしてその評決は! オバマ大統領は経済を立て直してきてる! ということだ。そして、6ヶ月後には最悪期を乗り越えていることだろう。

どうしてこんな楽観的な判断をしてるかって? 私にバイアスがかかってる?

オバマの反資本主義的な政策は実施されなかった。そして、ガイトナーとバーナンキがいい仕事をしてるんだ。

さて、オバマ就任からパフォーマンスの良かったものはなんだろう。
JPMは82%アップ。BAC75%、 AXP55%、DO18%、IBM22%、INTC19% 、HD19%。
特に金融関連の銘柄が大きく伸びたのは良いサインなんだ。これらの数字が、デプレッションを回避し、リセッションからの回復基調にあることを物語ってる。もしもこれらの銘柄が下がっていってたなら、経済が回復していなくて、さらに酷い恐慌に突入していってただろうからね。

銀行の暴落は、大恐慌の震源地となるからね。

DOは様々なプロダクトを持っているが、住宅資材にも関連している。だからこの株が伸びていることは、住宅関連も少なくとも峠を越して、回復基調にあることを示している。
私の、6末の住宅市場底打ち予告は、多くの人に馬鹿にされているもんだが、HDのパフォーマンスも同様に住宅市場が良くなっていくことを示していると考えている。

IBMとインテルから何が見えてくるだろう。これは世界全体での、テクノロジーの需要に関しての指標となるんだ。企業は、経済が回復することが見えてこないと、コンピューター関連での新たな投資をしない。そして、これらの株が上がってることは、この分野でも回復の兆しが見えてるということなんだ。

さて、逆にオバマ就任後にパフォーマンスが悪かったのはなんだろうか。
これら敗者は、勝者よりも端的に経済の状況が回復してるのかどうかを示す指標となる。

PFE23%ダウン。KFT21%、MRK15%、PG13%。これらの株が特に値を下げてる。そこから見て取れるのは、経済が素早く持ち直してきてるってことだ。これらの、医薬品、食品、消費関連の銘柄は、ディフェンシブ銘柄で、セクターサイクル上、経済が悪くなっていく時に主に買われる銘柄だ。そして、経済の見通しが良い方向に代わる時に売られていく。

もしこれらのディフェンシブ銘柄が上がって銀行株が下がってたら、経済がさらに落ち込む見通しだということだし、オバマ大統領は経済政策を失敗してるということになる。

だが、実際の今の市場の状況を見れば、市場はオバマ大統領を信任していると言える。

さて、オバマ就任後、GMは50%以上下げている。これに関しては賛否両論あるし、判断をするのは非常に難しい。だが、ウォールストリートの側から見れば、オバマ大統領の手綱捌きに対して、非常にポジティブなシグナルなんだ。

株価の下落は、オバマ大統領が、GMに関して現状維持で救済するのでなく、大きなナタを振ることを示している。最終的な結果はどうなるか分かっていない。ウォールストリートの人間は、債券者よりも組合に泣いて欲しいと思ってる。現状のGMでは全く起こってなかったことだけどね。

株価がここまで下がってるってことは、オバマ大統領は、GMの巨大な債務をうやむやにしないだろうということなんだ。

私はGMの株を買うのは全くお勧めしない。政府と組合が会社の持ち分の多くを持っているし、組合が譲歩をしていない状態は、株価にとっては非常にまずいものなんだ。

さて、これらも含め、市場の動きは、オバマ就任100日を判断するに事足りているだろうか。
私にとっては、十分判断出来ると言える。

株価は、学者や批評家たちよりもより正直に我々に語りかけてくれる。

この番組では、株価でしか判断をしない。そして、その市場の語りかけることから導かれる客観的なデータは、オバマ就任100日が経済的に素晴らしい行動をしている、と判定する。

視聴者からの質問:
Q: QDEL Quidel Corp 10.05。豚インフルエンザの絡みでこの銘柄は上がるのでは?
A: この手のニュースで株価が上昇するのはだいたい2日だけだ。だから明日の引けまでに売るべきだ。水曜以降は相場としては終わってしまう。

Q: 株価が下がったところで、高配当狙いでブルーチップ30の内の数銘柄を買ったんですが、減配のアナウンスがありました。配当が以前のレベルに戻るまでにはどれくらいの期間がかかると思われますか。
A: もしかしたら数年掛かるかもしれない。というのは、銀行銘柄は特に難しいところがあるからだ。一般的な銘柄は、業績が持ち直し、利益が出れば、また以前のように配当を出すだろう。しかし、銀行は政府から資本注入を受けている場合、政府が健全だと判断しない限りは大きな配当を出すことは出来ないからだ。

Q: IPHS Innophos 14.21。3期連続好決算で競合も少ない。
A: 申し訳ないが、この銘柄は、判断を下せるほど詳しくは分かっていない。きちんと調べるようにするので、今日は判断は控えたい。


ーCM開けー
ヘッドラインから:

一般新聞から情報を得て株で利益を出すのはとても難しいものだ。実際のところ、投資の判断を、特に、株に関する新聞の記事で、決めてしまうことは最悪だと言っていいだろう。どうしてかって? というのは、記事を書いてる記者は、株式投資専門の人間じゃないからだ。彼らには動機も少ないし、自分で内容の裏付けを取るだけの能力もない。彼らは知ってることだけを書く。何が株を動かすかということじゃなく。

今日はその例を挙げよう。

先日ニューヨークタイムスに、ヒューレットパッカードの記事が載った。要約すれば、HPは、ビジネスフォーカス過ぎて、イノベーションがない、セクシーなプロダクトを生み出せていない、というような、CEOに対する批判記事だ。なぜ、HPはiPodみたいなプロダクトを出せないんだ、とか、クリエイティビティーがないとかね。

個人投資家はこれを見てネガティブに感じて株を手放すかもしれないが。

我々は投資家なんだ。投資家としては、正直この記事からは何も得るものがない。別にこの記事を批判してる訳じゃない。

だが、こういう記事が、個人投資家に誤った判断を与えることがある。

ヒューレットパッカードに、彼が言うような資質が必要だと思うかい?

確かにHPはアップルやリサーチインモーションのようなイノベイティブなプロダクトは無いが、プロダクトのセクシーさよりも、数字で判断すべきなんだ。

HPのビジネスは、確かにエキサイティングには見えないが、着実に素晴らしい数字を出してきている。ビジネスにフォーカスした経営は、十二分に機能している。

だから、こういう一般紙の記事の見出しで惑わされてはいけない。株式投資にとって、真に重要なのは、セクシーさでもクリエイティビティーでもなく、業績を表す数字だけなんだ。

(訳者注:この部分、かなり要約しました。。。ご了承下さい。)


オイルタンカー業界について:
今のオイルタンカー業界を取り巻く状況は最悪だ。石油需要の減少で、新品の船が、一度も使われること無く廃棄処分になったりもした。タンカー料金は、ここ7年で最低水準。OPECも減産。1日あたり大型船2隻分もの減産量になってる。

だが、この業界にもやっと回復の時が来たように見える。ブルームバーグの記事で、スーパータンカーのレートが戻ってきてるという話が出てきている。

さて、タンカーのビジネスは、オイルの値段は関係ない。タンカーに対する需要と供給がキーだ。そして、今ちょうどその状況が変わってきている。ソマリヤの海賊が悪影響を及ぼしていたにも関わらずね。

先週タンカーレートが上昇しているというアナウンスがあった。一週間で、中東から東へのタンカー料金が、40%アップしたんだ。だが、以前の価格からさんざんに叩かれたタンカー料金は、この上昇でもまだまだ安い状態だ。中東から西に掛けての料金も18%アップ。西アフリカから湾岸へも18%アップ。

アップサイドはまだまだ大きい。そしてこれは始まったばかりの動きなんだ。

なんでこの業界が良くなると思うかって?

船のオーナーは新たな船の建造を躊躇ってる。そして、環境への問題から、オイルの流失しやすいシングルホールタンカーが来年度にかけて110隻スクラップにされることが決まっている。

これらのことから、タンカーの供給数は20%縮小する。このことは、需要と供給の関係から、タンカー料金がさらに上がることを示している。

そしてもう一つの指標は。バルチックドライ指数が上昇しているということだ。この指数自体は直接オイルタンカーと関係している訳ではないが、4月頭から27%上昇していることは、考慮に入れてよいだろう。これは、シッピング関連全般に関して需要が復活してることを示すからだ。

そして石油の多くは中国向けに輸出されてる。

さて、どの企業の株を選ぶかを決めるために、このような環境下でも順調な業績を続けてる会社を選ぼうと思う。それを判断するために、業界トップ10の中から、過去5年のトータルリターンが高かったものを見ていこう。

1 FRO 180%。2. NAT 99%。この二つがダントツだ。そして非常に大きく離れて3. TNP 32%。


FROとNATが、シェアホルダーにとって長期に価値を提供してきた。だからこれらの銘柄を、今回のテーマに関して選ぶ銘柄とすべきだ。

FROは大きなシェアを持ってる。NATは、船の数では少ない。TNPは、チャーター船だ。NATは日計りの料金にフォーカスしている。だから、レートの上昇の恩恵を一番受ける。FROは既に多くの船の契約を済ませている。NATが一番アップサイドがあるだろうが、もし私の予測が間違っていたとしたら、FROの方が安定性があるだろう。

忘れてはならないのは、これらの銘柄は高配当株でもあるということだ。NAT8.2%、FRO5.7%だ。業績が上がればさらに上昇する可能性がある。

視聴者からの質問:
Q: DRYS Dry Ships 6.41
A: 財務も良くないし、今話したオイルタンカーの方が良いと思う。

Q: CNI Canadian Nat'l 39.56。この会社で働いててリタイヤし、株を持っています。シティーがダウングレードしたけれど、売るべきか持っておくべきか?
A: いい会社だ。私なら買い! もちろん、会社で働いてらしたから株をたくさん持ってると思うので、ここから買いとは言わないけれど、売るべきじゃない。

Lightning Round:
Q: JNJ Johnson & Johnson 50.85を持ってるんですが。
A: 我慢のしどころだ。今はサイクル的にこの株の旬ではない。配当も良いしいい株だが。長期で見るなら保持でいい。短期で見るなら、値上がりは見込めない株だ。

Q: CPO Corn Products Intl. 20.62
A: 今の株価は魅力的だ。買い。

Q: PCL Plum Creek Timber 35.40
A: 配当が思ったほど良くなかった。配当の良さが人々がこの銘柄を選ぶ理由なのにね。だから、私は EPDの方をお勧めする。素晴らしい決算だったし。

Q: CRM Salesforce.com 40.65
A: この株の判断はいつも難しいんだ。プロダクトも素晴らしいし、CEPもベストだ。だが株価は高い。PER40というレベルだ。だから成長に対してのリスクをとれる投資家は買いでいいと思う。

Q: LINE Linn Energy 16.21
A: 天然ガスの価格が下がり過ぎてる。売り。

Q: NOV Natl. Oilwell 30.14
A: 先週の決算は誰もが失望した。オーバーヴァリューだと思う。売り。

Q: PPL PPL 29.65
A: ユーティリティーなら、DかEDの方が配当も業績内容も良い。そちらをお勧め。

Q: AG Agco 24.25
A: 正直アグリ関連の株は評価していないんだ。その中から唯一選ぶとすれば、LPをお勧めする。

Q: FDP Fresh Del Monte 17.03 決算前でどうしようか迷ってます。
A: 決算が心配なら、既に発表し終わった会社でもいいじゃないか。HSYはダウングレードされたが、実際のところは業績的にモーメンタムを持ってると思う。こちらをお勧め。

Outrage of the day:
今日の怒りの矛先は、ETFだ。特にウルトラショート。Proshareという会社がウルトラショートのETFを作り出している。倍のレバレッジを掛けて銘柄をショートする。こんなものは禁止すべきだ。
最悪なのはSKF。私はこのETFが、銀行セクターに多大なダメージを与えたと考える。そして、きっとそのせいで、銀行救済の資金として、あなた達の税金が何億ドルも使われてしまってるんだ。

それだけのダメージを与えただけでは物足りないのか、Proshareは、94種類もの新しいショートETFを、SECに申請している。しかも、3倍のレバレッジを掛けた商品まで開発して、だ。

コミッショナー。頼むからこんな馬鹿げた商品を廃止してください。市場を健全にするために、心からお願いします。

投資家は、これらのショートETFが、下落相場に対し、長期に渡ってもヘッジとして機能する素晴らしい商品だと思っているけれど。

だが、ETFの価格は日々更新される。そして、それは単純に長期のボラティリティーを示すだけでしかない。

だからSKFで長期投資しても利益を上げられない。相場が下がっているにも関わらず、SKFにはそれが正確には反映されない。

他のショートも同じだ。

これらのショートETFを買ってよい人間は、デイトレーダーだけだ。長期投資にはヘッジとして役立たない。

だがそれが、トレーダーにどんな力を与えるか、というと、ショートするセクター自体を多いに下げる圧力となるんだ。

ベアなトレーダーにはまたとない武器な訳さ。そして、マージンルールも無視出来る訳だからね。

私自身は、ショート系のETFは全て廃止すべきだと思う。そして、最悪でも、新規に作ろうとしている3倍ショート系は絶対認めるべきでない。

2倍でさえ問題なのに、3倍なんて、猛毒でしかない。

長期で見れば、株価の動きに連動していない。だが、短期ではマーケットに強烈な下げ圧力を与えて、ベア派にマーケットに対する影響力を付与し、マーケットを壊している。それだけでも十分廃止するに値する理由だが、このせいで相場のボラティリティーが上がることによって、一般投資家が相場を怖がり、株式市場から離れさせてもしまっている。

マーケットに恐怖という影響力を与えることは、この国を支える資本市場の健全性を大きく損なうことだ。

アップティックルールが復活したとしても、このようなウルトラショートETFがある限り、ルールはザルになってしまう。既にマージンルール逃れのために使ってるやつらがいるんだから。

市場をフェアにするために、SECは是が非でもショートのETFを廃止すべきだ。でないと、ルール破りをする人間が出て、市場が健全でなくなり、まともな投資家にとって投資すべきでない環境となってしまう。


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