2009年5月1日金曜日

2009年4月30日(木): ジムクレイマー MAD MONEY







今日の株価終値:
Dow Industrials (.DJI) 8,168.12 ▼17.61 (-0.22%) Volume 341M
NASDAQ Composite (.IXIC) 1,717.30 △5.36 (+0.31%) Volume 2,147M

企業のコストカットや、ジョブカット、配当の支払いなどの努力が実ってきている。
スターバックスやインターナショナルペイパー、NYX、OIやダウケミカルなどの今日の株価の動きでそれが見えてきた。これが今日の市場からのメッセージだ。

今日の引けに掛けては利益確定の動きがあったし、オバマ大統領のクライスラーの破綻に関してのヘッジファンドの要求に対し、非常に厳しいアナウンスを出したことも影響して引け値は下がったけれどね。

だが、私はオバマ大統領の行動を支持する。大統領は以前とは変わって今は、401Kを守る行動をとってくれている。業突く張りのヘッジファンドを牽制してくれているんだ。

そして、今日の大統領のコメントで今後さらなる下げがあったとしても、逆に買い場を与えてくれたと感謝しなくちゃならないだろう。

この業績発表シーズンが始まってから、何度も聞かされてる言葉がある。

「予想を上回った業績を発表」

というフレーズだ。

今日もたくさんのこのフレーズを聞いている。私がネガティブに見ていた銘柄でさえだ。

あなたに理解しておいて欲しいことが一つある。

この「予想を上回った業績を発表」出来ているのは、別に売り上げが大きく上がっていった訳ではない、ということなんだ。業績が上がった理由のほとんどは、リストラやコストカットに起因している、ということだ。

要するに、景気が良かったときの贅肉をどんどん絞ったということなんだ。今日の決算で、古典的な意味で、セールスも含め業績を伸ばしてたのはファーストソーラーぐらいだった。セールスは大きく上昇し、かつコストも下がってグロースマージンも上昇した。素晴らしい決算だった。

他にも、売り上げも伴いながら良い決算を出していたのは、AMZN, RIMM, AAPL, GOOGくらいだ。だからこそ、FSLRは、23.5%も上昇してるんだ。内容が非常に良いからね。

だがほとんどの会社のケースで「予想を上回った業績を発表」したのは、とにかくコストカットをしまくったことからだ。

SBUXやNYXが、予想以上の利益を上げたという点だけじゃなく、コストカットが予想以上に厳しく行われていたという点が、素晴らしいことなんだ。

このポジティブなメッセージを、あなたにはきちんと受け止めてもらいたいんだ。

SBUXもNYXも、実のところ売り上げ実績自体は良くはなっていないんだ。だが、そのレベルでさえ、利益をしっかりだせる体質に変わったという点が大事なんだ。

そして、景気回復後に、売り上げを伴った業績があがれば、コストカットの恩恵は利益に直結していく。過去と同じレベルに戻っただけでも、コストカットのお陰で以前以上の利益を出せる体質なんだ。

だからこの会社の株は今日値を上げてきているんだ。

ダウ・ケミカルに関しては、私はミスを犯した。株が一桁台になったとき、売るに売れない株だと言った。買い推奨を出せなかった。私はこの会社が真剣にコストカットに取り組むとは考えていなかった。

そして最悪なのは、OI。利益なんて出せっこないと番組で話したが。実際、これだけの厳しい売り上げでも利益をきちんと出してきている。コストカットがこれだけ進むとは予想していなかった。これも私の判断ミスだった。

結論:今日もしオバマ大統領がヘッジファンドに釘を刺す発言をしなかったなら、株価はもっと上を目指していただろう。だが、上昇すべき理由というのは、ビジネス環境の売り上げが良くなってきたという理由からではなく、コストカットが非常に早い速度で進んでいってるということを好感してのことなんだ。

視聴者からの質問:
Q: ID L-1 Identity Sol 7.32 40Mの契約をミシガン州と結ぶという話が出ています。
A: 業績上にきっちりと現れるまでは、買いに入るべきではないと思う。

Q: Thestreet.comをいつもチェックしてるんですが、今後12ヶ月のターゲットプライスを出してらっしゃいますが、個人投資家として自分でそれを導きだす方法を教えてもらえませんか?
A: 私はThestreet.comのチェアマンなんだが、実のところ、あのシステムはThestreet.comの独自仕様のもので、その手法というのは、私個人の考えとは違っているんだ。時に予想値に関して私個人としては同意しかねるものもあるというのが本当のところだ。だから言えることは、参考にこそしてもらって構わないが、とにかく自分でホームワークを続けて、自分の基準の中で最終的な判断を下して欲しいということなんだ。Thestreet.comに出ている内容全てが、私の意見を代弁しているとは誤解しないで欲しいということなんだ。

ーCM開けー
SELL BLOCK:
アナリストの予想はあなたのためになされているものではないんだ。
例えば昨日パイパージェフリーがWSO Watsco 42.95(エアコンやヒーティング、換気関連機器の最大級のディストリビューター)をバイからニュートラルにダウングレードした。私はこれを以前、売りの独房にぶちこんだものだが、実は今日、釈放しようと思ってる。

私は今日こそこの銘柄をアップグレードすべきだと思ってる。

住宅市場のボトムが近づいている。新規の住宅には当然WSOの機器が必要だ。この前のCEOインタビューでもあるように、新規住宅の販売が上向いてきつつある。この銘柄は当然その恩恵を受ける。そして、4.4%の高配当でもある。

だから、例え私の住宅市場の底打ちコールが早すぎたとしても、待てるだけの配当メリットがあると思う。

さて、なんでパイパージェフリーの意見は私と異なるのだろうか。

まず、彼らは住宅市場の底打ちを信じていない。
そして、彼らはバリュエーションが高すぎるという。だが、彼らのレポートはミューチャルファンドやヘッジファンドのためにあるんだ。ダウングレードで株価が下がった後に買おうってことなのさ。アナリストはあなたに向かってレポートを出していないということを覚えておいて欲しい。個人投資家とは違った時間軸で行動している。

しかしながら、こういうアナウンスのお陰で、本来の価格よりも安く買う場を作っているということも言えるだろう。

今回のラリーにほとんどのヘッジファンドは乗り遅れた。だから、なんとかしてもう一度安値を演出したいと思ってる。ショートのポジションで損を出したくない、もしくは安く買い入れたい、あるいは市場平均に大きく負けたくない、なんて理由でね。

ほとんどのアナリストの本能は、ヘッジファンドと同じだ。あまりにネガティブすぎるんだ。
昨日この株をダウングレードしたアナリストはその端的な例だ。

10/17:37ドルで買い推奨を出した。そして昨日ダウングレードした時点で16%の利益だ。だが、この記録をもってしても、私から言わせれば、かれはミスを犯すのを恐れているか、ネガティブなバイアスによって判断していると思う。

私の考えはこうだ。

今現在のマルチプルは22倍。確かに現時点だけで見れば高く見えるが。将来を考えた場合どうだろう。住宅市場が底打ちすれば、業績は確実に上昇していく。だから、先を見れば、私にはまだまだ魅力的なバリュエーションに見えるんだ。

ヘッジファンドの人間やアナリストは、底値からの値上がり幅で、高すぎると言う。だが私は去年9月の高値から見ればまだまだ安いと見ている。なぜなら、ありきたりな恐慌を回避したからだ。

だが彼らは、まだこれから悪くなる可能性を捨てきれない。彼らは、良くなってないと思うだけならまだしも、さらに悪くなるという予想をたてている。これは、私にとっては理解出来ない考え方だ。

住宅市場の底打ち。そして景気刺激策による、省エネ機器の導入奨励。クリーンエアアクトによる、新しい冷蔵庫の仕様の変更により、この会社は利益を得ることだろう。

そして忘れてならないのは、キューバとの関係改善だ。これが進めば、フロリダベースのこの会社は恩恵を受ける。キューバはインフラ整備が必要だからだ。カリビアンベースで2番目に大きい会社だ。キューバ関連だけの銘柄は投機的でお薦めしないが、この銘柄はそれ以外、配当も含めての魅力があるんだ。


視聴者からの質問:
Q: キューバ関連でお薦めは?
A: インフラと建設関連だろう。WSOはピュアプレイだ。シーメックスもいいだろう。FCXもだ。

Q: HD Home Depot 26.28 私は従業員で結構な自社株を買ってます。持っとくべきでしょうか。
A: もちろん持っておくべきだ。私自身もっと買おうとしてるんだがなかなか下がってくれない。配当もいいし、成長も見込める。まだまだ持っておくべきだ!

Q: SHLD Sears Holding 62.47
A: 2つ考えるべき重要なことがある。一つは、ネイキッドショートセールの禁止という予想がこの株価の上昇に大きく寄与しているだろうこと。自動車関連で悪いニュースが出たときに、シアーズの持ってるバッテリーに関して投機的な買いが多数入ってきているということだ。私個人はとてもいい会社だと思うが、今の株価は、正確な状況を反映していないと思う。

CEOインタビュー:
ほとんど誰もが、ハイテク銘柄がここ2ヶ月でこんなに上昇するとは思ってなかっただろう。だが今やハイテク銘柄には火がついた状態だ。

この異常なほどの動きを見せてる格好の銘柄がある。

SWKS Skyworks Solutions 8.84

セミコンや携帯電話のチップを作ってる会社だ。特にスマートフォン関連の。私が12月12日4.41ドルで買い推奨したとき、この会社は最も株価を下げられた会社で誰も未来を信じてなかった。5ヶ月後の今、倍になった。私はその手柄を全部取るとことは出来ない。というのは、20%上昇で、利益を確定するように言っていたからだ。欲深くなりたくなかったからね。

だが、この会社はハイテクが旬であることの証拠となっている。

実際のところ、このハイテクブルの私が以前は少しネガティブになっていたんだ。

だが、スマートフォン市場は成長を続けているし、中国の刺激策も忘れてはならないだろう。それはつまり、より多くの収入をSWKSのような会社にもたらすということだ。中国ではこれからどんどん携帯が売れるだろうからね。

だからこそ市場の予想を少し上回る業績をあげ、来期の予想が非常にクリアーだとアナウンス出来たんだ。90%のビジネスはオーダーのバックログから推測されているからね。

そして今株価は倍になった。利益を確定するときだろうか。また、傍観者となっていた人は、儲ける機会を失ってしまったんだろうか。

私はまだ機会があると思ってる。

素晴らしいことに、ヘッジファンドは未だ買いに入ってない。だが、いずれ彼らも降参せねばならないときがくる。

そしてそのときは、勝者がさらに勝ち続け、高値が高値を呼ぶ形になるだろう。この銘柄のようなところにね。

ハイテク銘柄の勝者は、キャッシュも多く持ってるし、成長性のあるマーケットで、本当の意味での業績の上昇を期待出来るからだ。中国の恩恵も得てね。

2倍になったからといって、躊躇する理由は無い。

WSJにこんな記事があった。アップルが独自のチップを開発する方向にシフトしている、と。

ここで、SkyworksのCEOに直接話を聞いてみよう。

Jim: APPLEは重要な取引先ですが、チップを自製化するという話についてはどうですか?
David Alden: スマートフォンの機能は非常に幅広く複雑で進歩も速く、多くの顧客は、最終的にはアウトソースする方が理にかなってると考えてくれています。

J: 携帯電話自体は、気に入ったものをメーカーに縛られず乗り換えられてしまう可能性のあるものですが、貴社のビジネスが、そのように、貴社のチップ等に関しても他社に簡単に乗り換えられるものでないと言える理由は?
D: 携帯電話の機能が非常にハイスピードで高機能化されていくなかで、我々の作る商品に対しては、競合がどんどん少なくなっていますし、また高機能化のために、商品単価も高くなっていっています。

J: あるアナリストが貴社をダウングレードしましたが、理由はヴァリュエーションが高すぎるということと、携帯業界に、目に見える形での立ち直りのサインが見えないこと、また競合他社とのマーケットの取り合いになるだろうことを予測していますが、それに対しては?
D: 目に見える状態と言うことで言えば、確かに過去は、在庫を減らしていってもオーダーは増えませんでしたが、この2月3月と、オーダーが増え、在庫が底づく状態になっています。そして、我々の供給先側も、顧客の需要から在庫がなくなるという循環が伝えられています。ですので、注意を払いながらも、来期の上昇の予想を出しています。在庫の問題は解消されました。ですので、これからは、今後の実際の需要はどうなのか、季節変動はどれくらいかです。これは非常に難しい問題ではありますが、一つ言えることは我々は厳しかった今期でも40%のグロースマージンを取れてるという結果を非常に誇りに思っているという点です。

J: 私も強調している点なんですが、最悪の時期にこれだけの結果を出してるという事実を良く見つめるべきだと思うんです。それはつまり、今より状況が良くなったときは、どれだけの結果が出るかということに思いを巡らすことに繋がるんです。それにもう一つ、素晴らしいのはキャッシュですね。どんどん蓄えてらっしゃる。何に使われる予定なんですか?
D: はい、150Mのネットキャッシュがあります。債務ポジションは減少しました。現在は、顧客にとって、どんなベストなことが出来るかを考慮しながらオプションを検討しているところです。

J: 新しいデバイスがどんどん出てきてますし、ハイレゾのものが出回ってます。ということは、貴社の製品が拡大するということでしょうか?
D: 我々にとってのチャレンジは、機器のマルチメディア化がどんどん進んでいることです。ハイレゾ化は、より多くの電力消費を必要とします。そして我が社の強みは、いかに省電力化を進めるかというところにあるので、今の市場の要求は、我が社に取ってチャレンジではありますが、強みをより活かせる分野と考えています。

J: なぜAPPLEのように、自製化しようとする動きがあるのでしょうか?
D: モトローラもノキアも、以前は自社製を使ってらっしゃいました。ただの電話機能+αの時代なら、コンポーネントビジネスと言えたでしょうが、今やトランスミットソルーションビジネスであり、とれんどはアウトソースの方向です。そして我々はそのサプライチェーンの中にいて、今のポジションに満足しています。
J: ありがとうございました。

ハイテク銘柄はまだまだ旬だし、SWKSにはまだまだ上昇の余地があると思う。

Lightning Round:
Q: BP BP plc 42.47
A: BPに関しては大きな物議がある。WSJにもあったが、配当を出すことが出来るかどうかという問題だ。私は配当がきちんと出ると予測しているし、実際この株を買っている。だから買い! インテグレーテッドオイル関連ではもっとも安値だと考えている。

Q: HRB H&R Block 15.14 私はこの株を19ドルで買っています。売るべきでしょうか。
A: いや、今は一時的に株価が凍り付いてる状態なだけだ。サイクルの問題で今は旬ではないが、だからといってここで損を出す必要は無い。

Q: COF Capital One 16.75
A: 投機として考えればありだろう。だが、投資としてはお勧めしない。金融系では他に安値で良い株がある。

Q: BDX Becton Dickinson 61.96を持っているのですが。
A: ベアの片道切符に乗ってしまった株だが、素晴らしい会社ではある。ただ、セクターローテーションの中で今は見放されているだけだ。今損切りする必要はない。いずれ株価は戻るだろう。だが、安値で魅力的だからといって今から買うべき株でもないんだ。サイクルを見て買わねばならない。

Q: HBAN Huntington Banc. 2.77
A: COFは投機的な理由で大きくお薦めはしなかったが、こちらは根本的にお薦めしない。経営状態が良くない。ストレステストに引っかかるかどうかはなんとも言えないが、少なくとも私のストレステストでは失格の銀行だ。

Q: CSCO Cisco Systems 19.23
A: 私自身も買っているし、財務も業績も良いと思う。短期間で上昇してるので、多少の調整はあるかもしれないが、その時は買い時だ。長期で見るならまだまだ株価は安い。

Q: GMCR Green Mountain 71.99
A: 今日見事に踏み上がった銘柄だ。確かに良い株なんだが、36.5%も一日で上げてしまった状態では、欲をかくべきでなく、利益確定をすべきという話になってると思う。

Q: ARA Aracruz 11.94
A: 配当を維持出来るか分からないので、今は待つべきだ。ブラジル関係ならBBDかCPLが今のところ私の気に入ってる銘柄だ。


視聴者からの手紙:
以前視聴者から、肥料や医薬品などに使われるリン酸塩の会社IPHSについて質問を受けた。4.6%の高配当を出している。景気後退でこの会社も業績が悪化したが、他の会社の例にもれず、コストカットをする等の企業努力をしている。だが、今すぐには投資の判断が出来ない。5日の決算発表を見てから考えてよいと思う。

Q: ストップロスorセルと、トレーリングストップの使い方について教えてください。ドル単位で注文すべきなのか、パーセントで考えるべきなのか。それと戦略は、トレードとインベストメントの場合で違ってくるのでしょうか。
A: トレードをするのなら、場から目を離さないべきだ。ストップロスを使うと、いい値段で売ることが出来ない。マーケットオーダーもだめだ。トレーディングは簡単に出来るものではないということを良く理解して欲しい。

CM明け:
Skyworks solutions と同業種のMXIMが引け後に素晴らしい決算を出した。

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